腰痛は大きく2つのグループに分けられます。
・検査で原因が特定できるもの(約2割)
・検査で原因が特定できないもの(約8割)
※朝日新聞(2013年4月9日)より
実は、病院の検査で原因を特定できないものが大半です。特定できないグループの腰痛は心因性、つまりストレスが要因が多いのではないかと言われています。
ただ、一言でストレスといっても、昔と今ではその種類が違う気がします。2つの視点から今と昔の変化をみてみました。
1.仕事の変化(肉体労働から頭脳労働へ)
仕事を比べてみると、今と昔ではその内容が大きく変わっています。
肉体労働の比率が減って、頭脳労働・サービス・専門職の比率が増えたんです。(※国勢調査・職業別就業者数及び構成割合の推移より)
腰痛で考えてみると、重い物を背負って、腰を曲げて作業する仕事から受けるストレスと、椅子に長時間座って手や頭を使って受けるストレス。同じストレスでも腰への負担が変わります。
なった方はわかると思いますが、
・腰を動かすと痛い腰痛
・イスにずっと座ってると痛い腰痛
では、痛さの種類が違いますよね。ストレスが直接腰にいくのと、頭の疲れなどから間接的に腰にいくのでは負担を受ける位置が変わるのかもしれません。
2.生活環境の変化
家電の充実はライフスタイルを変えました。なかでも携帯電話、スマートフォンの広がりは大きいと思います。今は小学生も携帯を持つ時代です(お子さんによってはスマホまで)。私が初めて携帯を手にしたのは高校生でした…。
毎日メールを見るのは当たり前。携帯ゲーム、スマートフォンのアプリ、目の負担も増えました。SNS(Facebook、Twitterなど)の出現で人間関係の区切りも変わってきました。
これが直接腰痛に結びつくわけではありません。が、新しいストレスのもとが増えているのも事実。ストレスが腰痛の要因なら見過ごせません。
ストレスの種類が増えた現在では、腰痛は以前よりも複雑になってます。腰の牽引よりも抗うつ薬の方が効くと言われているのもその現れかもしれません。
では、鍼治療ではどう対応しているか。当院では次の流れで腰痛に対応しています。
■腰の筋肉に負担がきているか調べる
上で書いたように、腰痛治療のメインが腰でないことがあります。腰の痛みが本当に腰の筋肉からきているのかなども含め、簡単な運動検査をしてどこに負担がきているのか調べます。
それで、腰に直接鍼をした方が効くときは腰を中心に鍼をしますし、場合によっては、腰に鍼をしないこともあります。
■ストレスのタイプ別にツボを選ぶ
東洋医学的な見方は、環境変化などに対して体に現れた変化(舌の色形、不具合が出る位置、脈の状態など)を参考にしています。
つまり、体に出たストレス(舌に歯形がついてる、舌色が赤い、脈が早い遅い、お腹の張り具合など)を細かく診て、それにあったツボを選びます。
これを加えることで、その場だけでなく後に続く効果が期待できます。