「鍼って痛いんでしょ?」とよく聞かれますが、これはおそらく「針」のイメージが強いからくる誤解ではないかと思います。注射ではありませんからそれほど怖がることはありませんよ〜と言っても説得力がありませんので、ここでは鍼灸院で使う鍼の太さ・鍼灸師が感じる痛みと患者さんが捉える痛みの違いについて紹介します。
鍼灸院で使う鍼の太さ
鍼(はり)の太さは、0.12~0.25mm(国内基準)です。
髪の毛とほぼ同じ太さ(0.18mm)のものを使う治療院が多いと思います。
太い方がツボを捉えやすいので「いわゆるひびき」も多いです。(お尻や腰に鍼をする場合はやや太めの鍼を選択することがある)
状況(皮膚の張り具合、生理直前など)によっては痛みを生じることもありますが、ほとんど痛みはありませんのでご安心ください。(100本鍼をして1回あるかどうかくらいの頻度だと思います)
それでもやはり細い方が痛みが少ないです。ツボを捉えられれば、細くても効くなという実感があるので、当院では美容鍼(顔に刺す用)で使うような細めの鍼(0.14mm)を中心に使います。
ひびきと痛み
よく鍼灸師の先生は「ひびき」という言葉を使います。これは鍼がツボにあたったときの反応を表現したものです。
患者さんが、鍼をしている部分に対して感じる、「だるい感じがする・重い感じがする・スーッとする・軽くなる感じがする」などの反応をひびきといいます。
基本的に良い反応ですが、患者さんによってはこれを痛みと受け取ることもあります。でも鍼灸師は以下の理由でその反応を痛みだと思ってないのでどんどん鍼をしてきます。気になったら治療をしている先生に聞いてみてください。
鍼灸師がとらえる痛みは「鍼を刺す時に感じるチクッとする感じ」です。
これは切皮痛(せっぴつう)といって、鍼が皮膚をうまく通過しないではじかれるときに感じます。チクッと刺さる感じがするので、患者さんとしてはものすごく刺さっている気がしますが、実はまったく刺さらないと感じる痛みです。
また、神経痛の鍼治療の場合、狙った神経の近くまで鍼をもっていきますが、この時「ビリビリ」としたしびれに似た感覚を覚えることがあります。回復を早める上で必要だなと思われる場合はきちんと事前説明いたしますので、不安な場合はご遠慮なくお聞きください。
最後は受ける目的
ここまで、鍼の痛みに対する誤解について、「そこまで警戒するほど怖いものでもないですよ〜」という話をしてきました。
あとは、あなたがどんな目的(受けた後どうなりたいのか)でその施術を選択するのか。
その目的が重要だと思います。
あなたの抱えている痛み・つらさが、このページで紹介したような「鍼の痛みに対する恐怖」よりも大きいなら、受けてみて損になるケースはそれほどないはずです。(もちろん施術者側もそれに応えなければいけませんが)
もし、鍼に対して効果とは違う部分で施術をためらっている場合は、ぜひ「受けた後にどうなっていたいのか」に注目してみてください。